気候変動対応
気候変動対応の戦略
バイタルケーエスケー・グループのコアビジネスである医薬品卸売事業に対して気候変動がもたらすリスクと機会の分析は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とIEA(国際エネルギー機関)が公表しているシナリオ(1.5℃シナリオ、4℃シナリオ)を用いて実施しています。物流を事業の核とする当社グループにおいては、気候変動がもたらすリスクが重大なリスクの一つであると捉え、全社的なリスクマネジメント体制に統合することで、経営戦略に反映しています。
医薬品卸売事業における気候変動関連リスクと機会
シナリオ分析結果
1.5℃シナリオ
医薬品卸売事業へのリスクとして、炭素価格に係る制度やGHG排出規制、再生可能エネルギー・省エネルギー政策への対応を要求されることが挙げられました。そのため、再生可能エネルギー由来電力の活用やHV・EV車の導入、省エネルギー設備の導入に取り組んでいます。
一方で、新たに獲得できる機会として、気候変動への取り組みに伴う顧客や投資家の皆様からの評価向上や、GHG排出権取引制度の拡充に伴う新たな事業収益源の獲得が挙げられました。そのため、全社的な気候変動に対する取り組みと情報開示に加え、低炭素輸送に取り組み、GHG排出量の削減分を付加価値として販売することを検討しています。
4℃シナリオ
異常気象による物理的な影響の発生が予想されます。医薬品卸売事業へのリスクとして、風水害によりバイタルケーエスケー・グループやサプライヤー企業が所有する設備が被災し、配送遅延や事業停止の発生が想定されるため、BCPの策定や物流センターへの災害対策に取り組んでいます。
一方で、新たに獲得できる機会として、気候変動による感染症の増加に伴い医療物品需要が拡大した際に、当社グループの物流体制の強みを活かした迅速な医療物品普及が挙げられました。そのため、これまで培ってきたネットワークを活かし、有事に備えた物流体制を構築していきます。
指標・目標
当社グループは、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃以下に、可能な限り1.5℃に抑える努力をするというパリ協定で示された世界共通の長期目標と、日本政府が掲げる2050年までにGHGの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを達成するという目標に準拠すべく、GHG排出量削減目標を「2030年度30%削減(2021年度比)」と設定し、サステナブルな経営の実現を目指しています。今後、サプライチェーン全体の排出量を把握するため、Scope3の排出量算定を検討しています。当社グループ全拠点におけるScope1・Scope2のGHG排出量の実績は以下の通りです。
GHG排出量と削減目標
環境負荷低減に貢献する取り組み
当社グループの事業活動におけるGHG排出量削減
環境負荷低減に貢献する取り組みとして、輸送網や物流拠点の最適化などを推進し、輸送によるGHG排出量削減に取り組むとともに、環境負荷の少ない施設・設備への入れ替えを順次進めています。
- 電力使用量監視システムの導入
- 照明器具のLED化
- 人感センサー・昼光利用センサーの導入
- HV・EV車の導入
- 太陽光パネルの設置(宮城物流センター・兵庫物流センター)
- 電子化によるペーパーレスの実施
- 森林認証紙・再生紙の使用
- 高効率空調機の導入
各事業会社による環境負荷低減の取り組み