中期経営計画

第5次中期経営計画スライド

中期ビジョン

次代を見据えたビジネスモデルの革新

バイタルケーエスケー・グループは、2025年に目指す姿を「医療・介護を支える商品やサービスを戦略的に提供することにより、地域・コミュニティのヘルスケアになくてはならない存在となる」とし、地域のヘルスケアの深耕に取り組んでいます。
医療機関に加え、自治体・介護事業者など多くの地域のヘルスケアの提供者とネットワークを構築し、地域のヘルスケアの課題にサポートとソリューションを提供しています。2022~2024年度までの3年間にわたる第5次中期経営計画では、中期ビジョンに「次代を見据えたビジネスモデルの革新」を掲げ、事業を展開しています。

基本方針と重点施策

基本方針 重点施策 施策内容
市場の構造変化と市場特性に合わせた医薬品流通モデルの追求 より高度なサプライチェーンの構築
  • 医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインに準拠した物流体制
  • 医薬品の製造管理や品質管理の基準であるGMPにも一部対応する高品質な物流体制
  • 安定供給継続のため、人員の適正配置、営業・物流拠点の見直しによる生産性向上
  • 災害対応力の強化
  • 高度な医薬品物流を活かした3PL事業の拡大
医療のDX進展に伴う流通・マーケティングモデルの進化 薬局事業の取り組みと医薬品卸と薬局でのDX推進
  • 専門医療機関連携薬局や地域連携薬局の認定取得による高度な薬学管理や医療提供施設との情報連携に対応
  • オンライン服薬指導の導入、お薬ロッカー※1の設置、自動薬剤ピッキング装置など薬局現場でのDX推進
  • 予測発注システムやパッケージ納品※2による、医薬品卸と薬局が一体となったサプライチェーンの最適化
  • 薬局業務監査室設置によるコンプライアンスの徹底
病院市場への営業体制強化
  • 今後の成長が見込まれる病院市場への営業体制強化
  • 医療の高度化に伴い医薬品だけでなく医療機器の営業に注力
  • 病院の治療や医薬品、医療機器、診断薬などに精通するプロフェッショナルな営業スタッフ
    「MAPs※3」の新設
  • MAPsと医薬MS※4、機器MSがチームを編成し、病院の医師や経営層に積極的にアプローチ
プライム市場に対応したグループ経営推進 グループ経営戦略
  • 2022年10月28日に「企業価値向上に向けた取り組みの強化について」を発表し、グループ経営戦略を強化
  • 「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行
  • 取締役、執行役員だけでなく、部・支店長クラスの従業員も対象にした業績連動型譲渡制限付株式(RS)報酬制度の導入
  • 配当方針を「配当性向25%以上」から「DOE2%以上」へ変更したことによる株主還元策の充実
  • 2031年度のROE目標を8.0%に設定

※1おくすりボックス「ヤクボ」
※2商品を物流センターで多重検品・封印し、その荷姿で得意先へ届ける、独自の仕組み
※3MAPs:Medical Assist Partners
※4MS:Marketing Specialist(医薬品卸販売担当者)

成長戦略

より高度なサプライチェーンの構築

バイタルケーエスケー・グループは、目まぐるしい環境変化に対応し、重要な社会インフラとしての役割を果たすとともに、持続的成長の実現を目指し、より高度なサプライチェーンの構築に取り組んでいます。

既存事業の成長投資

地域性を踏まえた物流拠点の最適化

東北・新潟・首都圏を商圏とする株式会社バイタルネット、近畿を商圏とする株式会社ケーエスケー。
いずれの事業会社も、都市部と地方のエリアに対し、隅々まで医薬品が行き渡るよう対応が求められ、両事業会社合わせて7カ所の物流センターと83カ所の支店・営業所を配置することにより、対応してきました。今後も、当社グループは重要な社会インフラとしての役割を果たしながら、高品質かつ効率的な物流体制を追求し、時代に合わせた物流拠点の最適化を推進していきます。

株式会社ケーエスケーは近畿に物流センターを3か所、支店を32か所配置しております
株式会社バイタルネットは東北・新潟・首都圏に物流センターを4か所、支店営業所を51か所配置しております

新たな収益確保のための成長投資

高品質な医薬品物流体制と3PL事業の推進

医薬品卸売事業の市場は、底堅い需要はあるものの、全体として伸長が抑制される状況が継続していくと想定されます。特許切れ品(長期収載品・後発医薬品)は、数量は増大するものの、薬価制度の見直しと毎年の薬価改定により、商品単価は従来以上のスピードで下落しています。これらを迅速かつ安定的にお届けし続けるには、より効率的なサプライチェーンの構築が必要です。一方、特許品市場では、多様なモダリティの抗がん剤や希少疾患薬などアンメット・メディカル・ニーズに応えた高額薬(大半がいわゆるスペシャリティ医薬品)が、市場伸長の中心になっていきます。これらの薬剤は限られた専門医療機関で使用されますが、厳密な温度管理など高品質な物流が求められるとともに、より高度な情報提供などその専門性に応じた新たな医薬品流通上のニーズも生じることから、その対応が課題となります。また、再生医療などの製品をはじめ、超低温物流への対応など、より高度で高品質なサプライチェーンの構築が急務となっています。
いつ、いかなるときも必要としている人たちに医薬品を届けたい―当社グループはこの社会的使命を果たすため、商品単価、医薬品の属性、高度かつ高品質な管理体制などにかかわらず、商圏としている地域で治療を待ち望む人々にすべての医薬品をお届けできるよう、課題をクリアしながら、「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」に準拠した安全・安心・安定の物流体制を構築してきました。また、医薬品物流のスペシャリスト集団として、これまで培ってきたノウハウをもとに、上流の物流にも目を向けて、医薬品の製造販売業者に求められるGMP(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)も一部取り入れた社内基準を設けています。このような徹底した品質管理を行う物流が評価され、製薬企業から物流業務を受託する3PL(3rd Party Logistics)事業に取り組んでいます。当社グループは、3PL事業を今後の成長ドライバーの一つとすべく、引き続き注力していきます。

病院市場への営業体制強化

バイタルケーエスケー・グループは、第5次中期経営計画において、「市場の構造変化と市場特性に合わせた医薬品流通モデルの追求」を目指し、重点施策の一つとして「病院市場への営業体制強化」に取り組んでいます。

医療の高度化に伴い伸長する病院市場

近年、病院数が減少しているにもかかわらず、医療技術の高度化や高額な医薬品の増加により、病院医療費は拡大を続けており、当社グループの売上に占める病院の割合も増加しています。
また、病院における医療の高度化に伴い、医薬品だけではなく、医療機器の市場も大きく伸長しています。特に、治療で使われる医療機器市場は、右肩上がりで成長を続けており、この市場を取り込むことは、非常に重要で必要不可欠です。

当社グループは、今後も成長が見込まれる病院市場でのシェア拡大に向けて、営業体制の強化に取り組んでおり、病院の治療や医薬品、機器、診断薬などに精通したプロフェッショナルな営業スタッフである「MAPs」を2022年から導入しています。MAPsとは、「Medical Assist Partners」からなる造語です。また、営業本部内にはMAPs戦略担当部門を設置し、方向性の提示、必要なスキルを習得するための研修の実施、提案できる商材の拡大など、MAPsの展開をサポートしています。

伸長する病院市場

病院数は、2011年が8,605施設に対して、2019年は8,300施設と305施設減少。病院医療費は2011年が20.1兆円に対して2019年が23.8兆円と3.7兆円上昇。それに伴い、バイタルケーエスケー・グループの売上高に占める病院の割合は、2011年度が27.0%に対し、2021年度は32.0%まで上昇している

(出典)厚生労働省 医療費の動向、医療施設(動態)調査

医療機器国内市場

2020年度の売上が2.9兆円となり、その売上構成は、治療系が1兆6,156億円(54.0%)、診断系が7,316億円(24.5%)、その他が6,429億円(21.5%)となっています。市場の推移としては、治療系が2005年度上昇傾向にあり、診断系、その他に関しては年度ごとの変動はありますが、2005年度に比べてそこまでの大きな変化はありません。

(出典)厚生労働省 医薬品・医療機器産業実態調査

MAPsによる組織的連携であらゆるニーズに対応

MAPs研修の様子の写真

MAPs研修の様子

病院との関係構築を強化している様子の写真

病院との関係構築を強化

これまで医薬MSは医薬品を、機器MSは医療機器を、1軒の病院に対して別々に提案してきました。それぞれの担当商品の範囲でしか営業活動を行っていなかったため、病院全体を見た総合的な提案ができていませんでした。そこで、各地区の中核を担う病院をターゲット病院に選定し、ターゲット病院には担当のMAPsを配置しました。ターゲット病院では、薬剤部や資材課だけではなく、これまではほとんど接触してこなかった臨床医・病理医・検査技師や経営層にも積極的にアプローチし、関係構築を図っています。
病気は、健康診断や自覚症状の現れで医療機関を受診して発見され、病気の特定のために検査を実施し、診断が確定してから治療が行われます。治療方法も投薬や手術などさまざまで、治療後も画像診断や必要に応じてリハビリが行われます。MAPsは、治療全体の流れを俯瞰して捉え、検査などにおける数多くの工程一つひとつを丁寧に深堀りし、そのなかで医療機器・医療材料・試薬などを必要としている医師たちを見出します。そして、医薬MSと機器MSが一つのチームとなって、ニーズに合った商材や課題解決に役立つ商材を提案し、病院をサポートしています。

※MS:Marketing Specialist(医薬品卸販売担当者)

MAPs(Medical Assist Partners)

病院の治療・医薬品・医療機器・診断薬などに精通したプロフェッショナル

プロフェッショナル達が、チームを編成することで組織的連携を行い、コメディカル、部門長、ドクター、経営層といった各階層にアプローチし、医療機器。新弾薬、スペシャリティ医薬品、レンタル、システムといったあらゆるニーズに対応できるようにしています

新たな商品・サービスや販路の開拓

「医薬品卸売業」から「医薬流通産業」への進化

バイタルケーエスケー・グループは、病院・診療所・薬局をはじめ、40,000軒を超える得意先と、医薬品を中心に取引を行ってきました。医療機関や薬局にとって、医薬品の購入費は、毎月の支出の中で大きなウェイトを占める項目ですが、日々患者様に対し、質の高い医療を提供していくためには、医薬品以外にも多くのモノやサービスが必要です。医療に欠かすことができない医薬品を中心に、得意先との関係を築いてきた当社グループだからこそ、得意先のニーズをしっかりと把握し、きめ細かな対応が可能です。
また、当社グループは、これまで健康というテーマで広く連携してきた自治体や介護事業者、さらには地域の企業に対しても、さまざまなモノやサービスを提供することで、健康で豊かな地域社会の実現に貢献していきます。そのうえ、幅広い顧客ニーズに対応するため、従来から取り組んできた福祉用具などに加え、非常用発電機や電化製品などの商品・サービスを充実させ、販売やレンタルなどを強化していきます。
コロナ禍を契機としてDXが急速に進み、社会環境は変化しました。医療分野においても同様であり、コロナ禍を経て、大きく変わりゆくものと、変わらないものをしっかりと見極めて、医薬品卸としての産業形成やDX推進が必要です。当社グループは、長年にわたり培ってきた医薬品卸売業としての経験とノウハウをベースに、経済社会のニーズに応えながら、国民の健康と福祉に欠かせない「医薬流通産業」として、新たな付加価値の創造に努めていきます。

バイタルケーエスケー・グループの拡大する販路

当社グループから様々な商品を病院、薬局に販売レンタルしています。健康商品、検査キットを新商品として薬局、民間企業に販売しています。また、福祉用具、電化製品、発電機を新商品として、病院・診療所、自治体にレンタルしています。